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政談

誓詞の文言に、別しては伊豆箱根両所権現と書く事、文盲の至也、是は貞永式目に有ことお、書札者の手本に書出したるお、何の詮議も無用たる也、貞永式目は北条家の公事の裁断は依怙おさせ間敷と雲誓文也、北条の所在は伊豆也、鎌倉は箱根に近き故、伊豆箱根と書たる也、今は国隔り、伊豆箱根の権現おば、平生は信ぜぬに、日本国中何方にても如此書こと、埒も無事也、其所にて第一に尊敬する神社お可用事也、