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承久兵乱記

はう〴〵へせんじおくださるゝ事
よしときみて、いまゝでことなかりつるこそ、ふしぎなれ、せんじにも、とうごくのものども、一みどうしんに、よし時もうつてまいらせよと候らん、人でにかけずして御へんてにかけて、きみのげんざんにいれさせ給へ、ちかくなより給ひそとて、かいつくろひ給ひければ、よしむら口おしくもへだてられたてまつる物かな、〈○中略〉いくたびも、三代しやうぐんの御かたみにて、わたらせ給候へば、いかでかすてたてまつり候べき、まつたくせんじにもかたより、たねよしがかたらひにもつくまじく候、よしむら二ごゝろおそんぜば、日ほんこく中大せうのじんぎ、べつしてみうら十二天じんの、しんばつおかふむりて、月日のひかりにあたらぬみとまかりなるべしと、せいしやう(○○○○○)おたてられければ、いまこそこゝろやすくおもひたてまつれ、されば三代しやうぐんよみがへりて、わたらせ給ふとこそ見たてまつれとぞの給ひける、