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梅松論

援に京都より細川阿波守舎弟源蔵人、掃部介兄弟三人、関東追討の為に差下さるゝ所に、路頭において、関東はや滅亡のよし聞え有けれども、猶々下向せらる、かくて若君お補佐し奉るといへども、鎌倉中連日空騒して、世上穏かならざる間、和氏頼春師氏兄弟三人、義貞の宿所に向て、事の子細お問尋て、勝負お決せんとせられけるに依て、義貞野心お存ぜざるよし、起請文お以陳じ申されし間、せいひつす、