[p.0396]
枕草子

にくきもの
いそぐことあるおりに、長ごとするまらうど、あなづらはしき人ならば、のちになどいひても、おひやりつべけれども、さすがに心はづかしき人いとにくし、〈○中略〉
こゝろゆくもの
つれ〴〵なるおりに、いとあまりむつましくはあらず、うとくもあらぬまろうどのきて、世の中の物がたり、此ごろある事のおかしきも、にくきも、あやしきも、これにかゝりかれにかゝり、おほやけわたくしおぼつかなからず、きゝよきほどにかたりたる、いと心ゆくこゝちす、