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伊勢平蔵家訓
五倫の事
一朋友の法は友だちの交りの法なり、友だちとつきあふには、相互に真実の心お専らとして、たのもしく交るべし、友達の心得違有てわろきあらば、異見お、いひ、難儀なる事おばすくひたすけ、何事も真実にして偽りなく、だしぬかずたのもしくするお、朋友の信といふなり、
一友だちは相互に遠慮なく、わろきよしおいひて異見おしで、あしき事お改むべし、是相たがひに友だちの慈悲なり、是友だちにつきあふ法なり、
一友だちの中、真実の心なく、異見いひても却て腹おたち、だのもしからぬ友ならば、次第々々に遠ざかりて、つきあふべからず、これもまた友に交る法なり、