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翁問答
上本
師〈○貝原益軒〉の曰、〈○中略〉朋友はたがひに信おもて相まじはる道とす、信はいつはりなく義理にかなふ徳なり、友達のまじはりに、心友面友の差別、情義の親疎、さま〴〵ありといへども、畢竟はみな信のみちお本とす、たがひのこゝろざしおなじくまじはりしたしむお心友といふ、こゝろざしはちがひぬれども、筋目あるか、或は同郷隣家、あるひは同官同職などにて、さい〳〵相まじはりてしだしきお面友といふ、一目しる人も面友のうちなり、心友面友ともに情義の親疎おなじからず、そのほど〳〵の義理にしたがひて、威義うや〳〵しく、挨拶和厚にして、いつはりなく、もちろん約束などのすこしも違変なきが、信のみちの大がいなり、