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十訓抄

橘正通が身の沈める事お恨て、異国へ思立たる折ふし、具平親王の作文序書たりけるに、是おかぎりとやおもひけむ、
齢亜顔駟、過三代而猶沈、恨同伯鸞、歌五噫而将去、とぞかける、源為憲其座に候けるが、此句おあやしみて、正通思心有て仕つれりと申ければ、さすが心細くや思ひけん、涙おながしけり、さてまかり出るまゝに、高麗へぞ行ける、〈○又見古今著聞集〉