[p.0424][p.0425]
万葉集
二/相聞
柿本朝臣人麿、従石見国別妻上来時歌二首並短歌
石見乃海(いはみのみ)、角乃浦回乎(つぬのうらまお)、浦無等(うらなしと)、人社見良目(ひとこそみらめ)、滷無等(かたなしと)、人社見良目(ひとこそみらめ)、吉咲八師(よしえやし)、浦者無友(うらはなくとも)、縦画屋師(よしえやし)、滷者無(かたはなく)鞆(とも)、鯨魚取(いさなとり)、海辺乎指而(うなびおさして)、和多豆乃(にぎたづの)、荒磯乃上爾(あらいそのうへに)、香青生(かあおなる)、玉藻息津藻(たまもおきつも)、朝羽振(あさはふる)、風社依米(かぜこそよせめ)、夕羽振(ゆふはふる)、浪社来縁(なみこそきよる)、浪之共(なみのむた)、彼縁此(かよりかく)、依玉藻成依(よりたまもなすより)、宿之妹乎(ねしいおも)、露霜乃(つゆしもの)、置而之来者(おきてしくれば)、此道乃(このみちの)、八十隈毎(やそくまごと)、万段(によろづた)、顧為騰(びかへりみすれど)、弥遠爾(いほとほに)、里者放奴(さとはさかりぬ)、益高爾(ましたかに)、山毛越来奴(やまもこえきぬ)、夏草之(なつくさの)、念之奈要而(おせひしなえて)、志怒布良武(しぬぶらむ)、妹之門将見(いもがかどみむ)、靡此山(なびけこのやま)、
反歌
石見乃也(いはみのや)、高角山之(たかつのやまの)、木際従(このまより)、我振袖乎(わがふるそでお)、妹見都良武香(いもみつらむか)、
小竹之葉者(ささのはは)、三山毛清爾(みやまもさやに)、乱友(みたれとも)、吾者妹思(われはいもおもふ)、別来礼婆(わかれきぬれば)、〈○中略〉
柿本朝臣人麿妻依羅娘子、与人麿相別歌一首、
勿念跡(おもふなと)、君者雖言(きみはいふとも)、相時(あはんとき)、何時跡知而加(いつとしりてか)、吾不恋有牟(わがこひざらむ)、