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伊勢物語

むかし二条のきさきの、まだ東宮のみやすん所と申ける時、氏神にまうで給ひけるに、このえづかさにさぶらひける翁、人々のろく給はるついでに、御車より給はりて、よみて奉りける、
大はらやおしほの山もけふこそは神代のこともおもひ出らめとて、心にもかなしとや思ひけん、いかゞ思ひけん知ずかし、