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貞丈雑記
九/進物
一今時付台(○○)とて、黄金一枚、銀子一枚などゝ書たる包紙お、台にのりにてはり付て、金銀おば別に包て遣す事有、古は付台と言事なし、要脚何匹とて、鳥目にて遣しける也、殿中にて鳥目など懸御目事はなかりし也、付台と雲物、後世出したる物也、〈慶長の頃より大判、小判、小粒など出来たり、古は銭ばかり通用したり、〉
一金らん、段子、くつわ等お、折(○)に入ても進ずる事、旧記に見へたり、折とは檜の板にて折わげて造たる箱也、食物お入る折の作り様と同じ、大小長短広狭は、物に依て相応につくるなり、〈○中略〉
一弦お進物にするには、桶(○)に入て進ずる也、一桶と雲は廿一筋也、桶は檜の木のわげ物也、ふたはかぶせぶた也、とぢめは我方にして渡す也、ふたの書付は、ふたお竪板にして、弦廿一筋、又は廿一条と書べし、字頭我方にして渡すなり、