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日本武士鑑

奥平源八同苗隼人親兄弟討事
掃部頭殿登城有て、御老中に源八口上書お見せさせ給ひ、〈○中略〉やがて達上聞給ひ候へば、忝も上意に思召旨はありながら、達て奉願候間、掃部頭に被下と思召、流罪に被仰付との義に付、掃部頭殿いはく、其某拝地彦根に屈竟の所候、援につかはし申度候と有し時、板倉内膳正殿いはく、遠国迄は道中の気遣もなきにあらず、先今度は伊豆の大島に遷おき、重ねて御訴訟然べし、御取次は何時も仕候はん、此義宜かるべしと一決し、掃部頭殿帰り給ふ、〈○中略〉其比の狂歌に、
かたり出す浄瑠璃坂の敵打扠も其後ながされにけり