[p.0572]
貧は、まづしと雲ひ、又はともしとも雲ふ、即ち財貨の乏少なるお謂ふなり、我国の俗、古来清貧に安ずるお以て尚しと為し、名利の為に志お屈せざるお以て屑しと為す、而して貧にして能く其父母又は夫に事へ、或は其志お立てヽ業お成すものに至りては、殆ど枚挙に徨あらず、今其著きものお取て、此篇に収載せり、
負債は、他の財貨お借用いるお謂ふ、古くは出挙と称して、政府又は一私人より財物お人に貸して、其利息お収めしことあり、事は政治部貸借篇に詳なれば、宜しく参看すべし、