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五月雨草紙
艮斎〈○安積信〉師常に語られたるには、余は極の貧書生にてありしかば、書お抄する為にする半紙お買ふべき手当さへなければ、常に反故お買取りで、其裏に抄錄お為せり、去れども勉めて諸書に渉り、諸説お抄して覚へ居たれば、林門に在りて輪講会読等為したる節は、大抵いつも議論に打勝ち、外々の諸生に負けし事なかりし、