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耆旧得聞
鵜飼金平真昌、字子欽、号鍊斎、京師の人、石斎信之の子也、〈○註略〉山崎闇斎に従へ学べり、成童にして、通鑑綱目に訓点す、世是お金平点と雲ふ、後義公に仕へ、恩遇最厚し、金平其子の為に婦お娶る、義公雁一双お賜はり、庖厨の用に給せらる、其足お見るに、金十枚お繫ぎ賜はりしとなり、義公常に仰す、儒生貧窶なれば、其中擁塞して、文理暢通ならざるものなりとて、屢々金銀お授け給ひしなり、其頃寵遇お羨むものヽ諺に、一史館、二役人と雲へしとなり、〈家先人話〉