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十訓抄

賢人の大臣、〈○藤原実資〉他事の賢には似ず、女事に忍び給はざりけり、〈○中略〉あるとき、此殿の亭の前お、ことよろしき女の通りける、門より走力出、かきいだき給ひけるに、或人また通りあひて、車よりおりて、あれは賢人の御ふるまひかといひかけたりければ、女事に賢人なしと答て、にげ入給ひにけり、