[p.0651][p.0652]
細川頼之記
九月〈○貞治六年〉の初より、義詮〈○足利〉御病悩の事外に聞へて、天下の名医お召して、様々治術お尽させけれども、病日々に重りて其験なかりけり、其病のおこりお尋るに、夜昼おいはず、淫乱おのみ事として、美酒お甘じ、遊宴お専とし、天下の政道おば露ばかりも聞玉はず、〈○下略〉