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幸庵夜話
八宮様〈良純、陽光院第八皇子、知恩院門主後落堕、〉不行跡故、甲州〈江〉流させ給ふ、是は遊女町〈江〉毎々御かよひ、遊女も一人も不残逢給ひ、御気に入たるものには御伝授候、大切成古筆の歌書等、不残御とらせ候故、古筆の歌書于今遊女町に有之由に候、毎に御越候而も、御長坐被成事なく、宵に御越、五つ過に御帰被成候由、此段凡人とは事替り申よし、