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源平盛衰記
十六
満仲讒西宮殿事
冷泉院御位の時、覚御心もなく、御物狂はしくのみ御座ければ、ながらへて天下お知召さん事もいかヾと思食けるに、御弟の染殿式部卿宮〈○為平親王〉は、西宮の左大臣〈○源高明〉の御婿にておはしけるお、能き人にて渡らせ給ふと申ければ、中務丞橘敏延、僧連茂、多田の満仲、千晴など寄合て、式部卿宮お取奉て東国へ趣、軍兵お起、即位進せんと、右近の馬場にて、夜々談議しける程に、満仲心替して此由お奏聞しけるに依て、西宮殿は被流罪給にけり、