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古事記伝
二十七
蝦夷は延美斯(えみし/○○○)なり、名義は、身に凡て長き鬚の多きお以て、鰕になぞらへたるなり、〈○中略〉斯(し)の意は未思得ず、〈後(○)には訛りて延毘須と雲、又後には延毘須と雲おば夷字戎字蠹どの訓に用ひて、蝦夷おば延叙(えぞ/○○)とのみ雲り、○中略〉さて蝦夷は、皇国人己は、形も心も何も同じからず、固種類の甚く異なる物にして、其国は今もいはゆる蝦夷(えぞが)島にて、皇国とは海お隔てゝ外国にして、其域異なり、然るに上代よりして、其国人陸奥の北辺の地に渡来て住著たる者多く、〈○註略〉つぎ〳〵に蕃息て、陸奥の中央までも弘ごりて、皇国人と雑居しなり、