[p.0778][p.0779]
安斎随筆
前編六
一強盗二盗(○○○○) 此名目古書にあり、強盗は人の目お凌がず、形おあらはして、太刀刀等おもちて、人おおどろかし、あるひは殺害して、財宝おうばひ取しもの也、又道路にて行人の衣裳お剥とるも強盗なり、是お今昔物語等、其外古き物にはひきはぎといふ、山に在るお山賊と雲ふ、つれ〴〵草等にやまたちといふも是也、海に在りて船中にて物お奪ふお海賊といふ、以上みな強盗也、窃盗はひそかにぬすむと訓じて、人めお凌ぎ、形おかくし、垣壁お切りぬき、ひそかに財宝お奪ひ取るお雲ふなり、〈○下略〉