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老人雑話

信長城お武衛陣に築き、公方おすへて慶賀の能あり、老人も四歳ばかりにて、乳母に抱れて見物す、其日信長は小鼓お擊れしなり、長岡山斎は老人より歳長し、六歳ばかりにて猩々お一番舞れし、其時帰りに、門外にて盗人に後ろの紐お切られしことお覚たりと語れり、其比はぬすびとの刀かうがい小刀抔お抜取ことおしたり、是故に盗人おぬきし(○○○)と雲し、今のすり(○○)と雲が如し、