[p.0841]
平家物語

妓王事
そも〳〵わが朝に、しらびやうしのはじまりける事は、むかし鳥羽の院の御宇に、しまの千ざい、和歌のまへ、かれら二人がまひいだしたりけるなり、はじめはすいかんにたてえぼし、しろざやまきおさいてまひければ、おとこまひとそ申ける、しかるお中ごろより、えぼし刀おのけられて、すいかんばかりもちひたり、さてこそしらびやうしとは名づけけれ、