[p.0842]
嬉遊笑覧
五/歌舞
白拍子とは、もと拍子の名なるが、やがて歌舞の名になりたるなり、七十一番職人歌合に、白拍子曲舞まひどつがひたり、白拍子の歌、忘れゆく人もむかしのおとこ舞くるしかりける恋のせめかな、鶴が岡職人尽にも白拍子あり、秋のおもひ一こえにてもかぞへばや月みることのつもる夜ごろお、白拍子はかぞふるものにや、長門本平家物語にも、白拍子かぞへてとあり、〈今も春日若宮の神楽舞の歌に、しら拍子らん拍子と雲ことありとぞ、〉