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傍廂
後篇
傀儡
傀儡は二様ありて、いと紛らはし、事物紀原、列子通典、梁鍠傀儡詩、これらは木人形なり、西宮より出づる、箱出狂坊(ばこでくればう)といふ、又一様は遊女おいへり、下学集、本朝俗呼遊女曰傀儡、定家卿、季経朝臣などの歌は、遊女およみ給へり、いと紛らはし、字書には傀は猶怪也、又偉也、大也、美也、盛也とあり、儡は敗也、又心労苦貌、又不安定などあれば遊女にしたるなるべし、