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賤者考
さてくゞつといふも同じさま〈○遊女〉ながら、傀儡おまはして、興おそへたるが、一転して珍らしともてはやしけるより、又一種の如くなりたるなり〈○中略〉くゞといふ葛蕾の縄は、つよくしてきれざる故に、傀儡につけて、此綱おひきて舞はすより、やがてくゞつといひ、文字おもあてたるなり、〈○中略〉遊女傀儡ともに、其はじめこそ前にいふ如くなりけれ、後には芸はたゞいさゝか名のみにて、けいせい、やほちと、かはらぬ如くにもなりて、枕席おも専とせしもあるべし、