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異本洞房語園

京都遊女の名目
太夫 これは芸の上の名也慶長年中迄、遊女ども乱舞お習ひ、一年に二三度づゝ、四条河原に芝居お構へ能太夫、舞太夫、皆けいせいども勤めし也、猶大人歷々の御方御見物あり、種々の余情花麗なる事ども多かりしと也、去によりて今日の太夫は誰が家の何といふ太夫が勤るなどゝいひしより、おのづから、よき遊女どもの総名となりけるよし、芝居相違なく仕舞候得ば、太夫の遊女どもは、町御奉行所へ御礼に上る、此例により今以て年頭八朔、両度づゝ御礼に上り申候、