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異本洞房語園

散茶(さんちや/○○) 完文五年巳のとし、江戸所々に居し茶屋共、吉原へ降参して、七十余人入込たり、〈○中略〉降参の者共は、風呂屋くづれ多く有しゆへ、見せお風呂屋の時の如く構へたり、今の散茶これなり、扠岡より吉原へ来りし遊女は、いまだはりもなくて、客おふるなどゝいふ事はなしされば、いきはりもなく、ふらずといふ意にて、散茶女郎といひけり、是は吉原遊女共が、時の戯に散茶女郎といひしが、いひ止ずして、今に散茶といひもて来りしなり、