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洞房語園異本考異

このさん茶、むめ茶(○○○)に、甚だ杜撰多し、今考ふるに、本説〈○異本洞房語園〉に今まで吉原に居たる女郎に対して、ふらぬといふ心にて、散茶と異名せしとあり、然らば茶は袋に入れてふり出すに、散茶は粉に挽たる茶なれば、湯に放し入れるのみ、ふらぬといふ心なるべし、又むめ茶はその薄茶の濃きおうめるといふ心にて、散茶に対して、むめ茶と雲たる成べし、是又さん茶に一段おとりたる物ぞかし、これにつき里人の口称あれ共、正しからず、