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一目千軒
端女郎(はしじよらう)の事
太夫天神は、口の茶屋といふへは出ず、此女郎、昼ばかりは、端の茶屋にてあきなふ故、はし女郎(○○○○)といふ、夜は泊らず、廓の作法にて、夜泊りは揚屋而巳に限りたるに、宝暦二申のとしより、口の茶屋にて泊はじまりし也、此価の品、奥にくはしく記す、此はし女郎といふもの、打かけはすれど、禿はつれず、しかれども、松のくらいにもまさるほどのはし女郎は、禿つれる也、則おくの名よせにて見るべし、此内往来にさしかけ傘はなし、此職に秀たるは天神と位階おのぼり、又太夫にも経あがる、太夫天神は雲に及ばず、はし女郎までも襲(うちかけ)著している也、
局(つぼね)之事
局といふは、大内御局の下つかたの長屋に表して此号あり、直段は奥に記す、局女郎(○○○)、端女郎兼帯なり、