[p.0849][p.0850]
柳亭筆記

けちぎり
けちぎり(○○○○)は〈又けちとり(○○○○)といふもおなじ〉局女郎おいふなり、仮契りと書くは仮字なるべし、あるひはけち(○○)とばかりもいへり、又端(○)、青暖簾(○○○)、柿暖簾(○○○)、〈かきのれんは、多く江戸にのみいへり、〉又のれんづら(○○○○○)、きれおとるぼくとう(○○○○○○○○○)などもいへり、
青暖簾〈○中略〉 風流女大名、〈元禄の末印本〉大津柴屋町の事おいへる条に、是にて見えたる小家に青のうれんおかけたるは、端女郎の住み給ふ局とやらん雲々、江戸咄〈貞享三年印本〉六の巻、吉原の条に、〈○中略〉大臣なるは揚屋にて参会し、それにおよばざるは、さんちやの二階ざしきにてたのしみ、又それよりくだりては、青のうれんのかげにたちより、ぶん〳〵さうおうのあちだて雲々、〈○中略〉けち〈○中略〉 好色いせ物語、〈元禄中〉むかし田村と申けちおはしましけり、〈注〉けち一名局、一名はし女郎、〈四の巻長文也〉