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嬉遊笑覧
九/娼妓
百ざう、徒流雲、中ごろ江戸町弐丁目の河岸迄下品の遊女ありける、小部屋やうの店にで、二軒打抜に行灯一つお用ひたり、俗に百ざうといひける雲々いへり、ざうとは何の義にか、思ふに、豆蔵などの例にて、房州の方言に、寄居虫(がうな)お、がなざうと雲、又蟹にもくざうの名あり、陽物おさくざうといふも同じ、人の名めかしていふ事なり、坊と雲ふことゝ似たり、