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近世奇人伝

傾城吉野〈並灰屋某 銀冶某 僧日径〉
都島源の廓によしの(○○○)といへる名妓あり、容色風姿類なきのみならず、手かき歌よみ、茶香などおはじめ、凡遊芸に長じぬ、もとより心たかく、なみ〳〵の衣類器財などは省だにせず、それが著たる広東島のうはおそひお、よしの広東と名付て、今も賞茶者流の袋物にして、もてなすにてもしるべし、〈○下略〉