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異本洞房語園

京都遊女の名目〈○中略〉
局女郎 勤銀弐拾目 局の構様は、表に長押お付、局の広さ九尺に奥行弐間、或は弐間半、亦横六尺に奥行二間にも造る、入口は三尺、表通りは横六尺のうづら格子也、中閾と庭との堺に弐尺計りのまがきお付る、但外より内へ入候へば左の壁際也、うづら格子への通ひに、幅弐尺計、長三尺の腰かけ板有り、入り口にかちん染の暖簾お釈け、のれんの縫留に紫革にて露お付る、右局の指図お記す事、詮なき事なれども、元禄年中より局といふはすたり、総て吉原の古風取失ひし事多ければ、後々若輩どもの為に是お記し申候、