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嬉遊笑覧
九/娼妓
原武が雑記、〈○中略〉女郎の風俗も、昔は紅粉おしろいおむさき事とし、揚屋女郎の薄げさうだに、あげや風とはいひながら、いやしきことにいひなし、髪はひやうごに引むすび、あらぐしにてすき上げ、つまべにつまらくしの草履、地女とちがひ、きれいなるお女郎とせしに、今の風は髪は油がため、櫛はあしだのはの如くなるお二三枚さし、かんざしとて色々もやうおしたる七八本さしちらし、天気のよい日も下駄がけ、揚屋入といふ事しらず、おどり子かとみれば、小袖の数おきる雲々、