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皇都午睡
三編中
中の町張のおいらんと雲は、皆お職の飛切にて、新造禿お随がへ、向ふに箱桃灯お一対、男にもたせ、好の襠にて夕方前仲の町へ練り出す、先に右側お通れば、後には左側お通るにて、茶屋の亭主女房など、店先より挨拶に出て、ちとおかけなどゝいへば、此店へ腰おかけ、往来の方お流しめに見て、長ぎせるにて煙草おのむ、客衆来た来ぬの噂は、付そひの新造よりいはせるのみにて、詞数甚少なし、〈○下略〉