[p.0899]
骨董集
上編中
浮世袋再考
遊女にたはるゝお浮世ぐるひ(〇〇〇〇〇)といひしは、慶安明暦元禄の比までもしかありし歟、吾吟我集〈慶安二年未得著〉序の文に、あき人のよき衣著て、うき世ぐるひの小歌ずきおいはゞ、雪仏の水遊びしたらんが如し雲々と見えたり、
新続犬筑波 七夕 つまむかふ舟路はうき世ぐるひかな 正信
俳諧糸屑〈元綠七年印本〉恋之部に、憂世狂、憂世名といふ名目お出せり、是等おもて証とすべし、なほ案るに、昔はすべて当世様おさして浮世といひしなるべし、