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澪標
身請門出
身請定り門出の日、揚屋茶屋親方の親類知音の銘々へ、樽肴或は絹織物等相添祝儀となす、又もらひたる方よりも、それ〳〵の届事は、其後門出名残とて、家内一門一家寄あつまり、料理に結構おつくし盃事ありて、揚屋より迎に来る乗物持せ来るも有、かるきは竹籠被すげ笠さま〴〵あり、夫より揚屋にて又盃事あり、此時なじみの女郎連、おもひ〳〵寄あつまり、見送の事どもあり、門まで賑々しく見送り、はなやかなりし事どもいふ計なし、此儀式は大臣の威勢次第にて、花美かぎりなし、