[p.0914]
守貞漫稿
二十二/娼家
地獄
坊間の隠売女にて、陽は売女に非ず、密に売色する者お雲、昔より禁止なれども、天保以来特に厳禁也、然ども往々有之容子也、
地獄、京坂にて白湯文字と雲、尾名古屋にて百花と雲、もかと訓ず、彦根にて麁物と雲、皆密売女也、江戸地獄上品は金一分、下品は金二朱ばかりの由也、自宅或は中宿ありて、売色する由也、
或物の本雲、俗に売女に非ざる者お、地者〈ぢもの〉或は素人とも雲、其地ものお極密々にて売女するが故に地極と方言す、地極音近きが故に、今は通じて地獄と雲也、