[p.0917]
曲亭漫筆

大永八年傾城局の券書
京にて見たりし洛中傾城局の券書、〈紙中竪一尺余、横一尺五寸許、〉これ又二百余年の、古書なり、
補任傾城局(〇〇〇)之事 為御家恩勢田方に被仰付、就不儀御改易之上者、如先規竹内新次郎重信被仰合事、
右以人所被宛行実也、仍御公用年中〈仁〉拾五貫文宛、於有其沙汰者、被仰合〈訖〉、若就無沙汰者、雖為何時、可有御改易者也、仍補任如件、
大永八年〈戊〉子六月二日 〈春日修理大夫〉仲康
按ずるに、大永は後柏原院の年号、同七年後奈良院即位、大永八年はすなはち享禄元年なり、〈一年号大永八年にい六りて、享禄と改元、将軍足利義晴、〉東鑑に、里見冠者お傾城の別当に補するよし見えたり、室町家の時なほしかり、遊女お傾城といふこと大にふるし、