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完文見聞記
芳町にかげまやとて、男色お売る野郎屋あり、役者の弟子奉公人請状にて抱へるよし、子供屋おほく有て、揚屋は料理茶屋にて別家なり、価一と切百匹、昼三分夜二分也、野郎十八九より芸者にすといふ、又芝居にて女形の役者は平日人数少く、御殿場め狂言或は御姫様の行列抔には、女形多く入用なる時、此野郎お雇ひ女形に遣ふなり、其時野郎振袖お著し、編笠おかぶり楽屋入する、天明の始まで有しと雲、〈○中略〉
芝神明前にかげまや三四軒あり、八町堀にも二三軒あれども、家造麁末にして、男女出逢の貸座敷にもすると雲、又湯島天神社内にも有て、芳町に同じ、