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武徳編年集成
五十一
慶長十年五月下旬、予州宇和島の城主富田信濃守知信と、備中猿掛の邑主浮田左京亮成正〈後阪崎対馬守と改〉確執あり、其故ぢ、左京亮違乱にして、罪なき小性お斬勠す、援に成正が甥浮田左門と雲ふ臣、彼小性と男色契おなしければ、恨お含んで討手の者お害し、信濃守が許へ走る、成正其憤斜ならずして、富田が方へ書お呈し、彼殺害人お出すべき旨お請ふ処に、信濃守が妻〈成正妹なり〉憐んで出さずして逐電の由お答ふ、左京亮強訴せんと欲す、〈○下略〉