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奴師労之
女芸者の事お、昔はおどり子(〇〇〇〇)といふ、明和安永の頃より芸者(〇〇)とよび、者(しや/〇)などゝしやれたり、弁天おとよ新富などゝいひ、橘町に名高し、妓者呼子鳥といふ小本、〈田にし金魚作、後に虎の巻と改む、〉此二人の事お記せり、橘町大坂や平六といへる、薬種屋の辺に芸者多し、俳諧の点者祇徳、其辺に住しゆえに、祇王祇女がほとりに、祇一祇徳などいひし白拍子の名にたぐへて、祇徳とはつきたり、弁天おとよ追善の句に、
蛇は穴に弁天おとよ土の下 祇徳
といひしもおかし、