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〈浪花雑誌〉街乃噂

万松、大阪では芸者のことお、芸子(〇〇)といびやす子、鶴人、さやうさ、芸者と芸子の分ちは、江戸よりは大阪の方がよう肱りやす、芸者といへば、大阪では男芸者のこと、芸子といへば、女のことでありやす、者の字が男になり、子の字が女になるは、寸志の無言語ではありやすめいか、千長、なるほど動やせん子、万松、大阪では芸者が、いや芸子が女郎より上座おするぢやあ肱りやせんか、鶴人、それも善(いゝ)きまりで肱りやす、新町〈○大阪〉では、江戸の通り、やつぱり女郎の下へ、芸子が居やす、其外の場所では芸子が上座へすはりやす、万松、大阪では、芸子が大鼓おたゝいて、踊ぢやありやせんか、鶴人、なに踊といふ訳ではありやせん、舞ふのでありやす、大鼓もたゝきやすが、三味線へのる塩梅(あんばい)が、至て古風で、上品なものでありやす、信州の軽井沢や追分で、太鼓おたゝいて、女郎の踊るとは、同日の御噺にはなりやせん、