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擁書漫筆

下野国の宇都宮にて、めくら御前がふるくよりうたひつたへし、若宮の歌といふ二謡お、蒲生秀実が、きゝたもちて、うたひけるに、そのひとつはわかみやまいり、
とのびとお、さきにたてゝ、わかみやまいりお、まうせば、わかみやの、ばんばさきで、ごしよばこお、見つけた、かたよりて、あけて見たれば、いちぐんによ、じふにぐにお、たまはる、あなめでた、わかみやまいりの、ごりしやう、
十六句にうたへり、〈○中略〉二にはたまてばこ、
いとしちおこ(少女)の、たまてばこの、たからものは、なに〳〵、しろみのかゞみが、なゝおもて、にしきおりが、やたゝみ、しろがねの、さおさして、こがねつるべお、くゝらせう、げにまこと、ちやうじやのじんとも、よばる、
十五句にうたへり