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十訓抄

近比鴨社の氏人に南大夫長明と雲者有けり、和歌絃管の道、人に知れたりけり、社司お望みけるが不協ければ、代お恨て出家して後、〈○中略〉
如本、和歌所の寄人にて候べき由お、後鳥羽院より仰られければ、
沈みにき今さらわかの浦波によせばやよらむあまのすて舟、と申して、終に籠居してやみにけり、世おも人おも恨みけるほどならば、かくこそあらまほしけれ、