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醒睡笑

人はそだち
一大和の傍に十市とて大名ありしが、世におちぶれ、吉野のにしつこうにおはせし時、あたりの者共おふるまはんと触らるゝやう、此いく〳〵かに、誰々女中どもに、わたり候へとなり、山がつの寄あひ、女中(○○)とは御器(○○)の事なるべし、牢人にてましませば、椀などもあるまじ、てんでにもちて、ゆけやといひつゝ、御器おわたしさまに、是は我等がはげ女中〳〵と、申てさし出した、
二人静に、にしつかうといふ正字お弁ぜず、色々に書たるあり、彼滝の東に有村お、東川といひ、西にある在所お、西川といひ、如此書也、