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自笑楽日記

不粋な客に粋な世話は蝦夷噺
当世は何にてもかはりたる事お仕出さねば、人も眼お止めず、享禄のむかし、都東山辺にて紙細工の鉢お仕出し、南京(○○)、印曼梨(○○○)の摸様お写し、錦出(○○)、金襴出(○○○)、さま〴〵に見事なる張たて、水の事は扠置、たきたてのあつものおいれても、すこしも損せず、ぱつちりといふ気遣なく、麁相の小めろが取おとしてもわれざれば、遠方へのおくり物にして、その軽き事瓢も蔓おくはへ、凝ごんにやくも、中へ入事お恥る重宝、さてこそかるき物がはやると、〈○下略〉