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窻の須佐美

故の笹山の祖君〈青山大蔵大輔幸成、(幸成蓋忠成誤)従四位侍従、〉の許に客あり、菓子おつみて出しけるに、客帰られけるお過て、常にはうちの方より直に帰られけるが、いかゞ有けん、もとの道より入なんと有けるに、若者ども彼菓子おうち散し、喰などし、すべき様なくして、其儘うづくまりしかば、打笑て菓子は心にまかされよ、鉢は秘蔵のものぞ、わられなと雲入られけり、