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倭訓栞
前編二十四/波
はし 箸も食する橋なるべし、よて御箸の渡るといふ辞あり、新撰字鏡に策もよめり、今も大嘗会の箸、古へ尚方の箸も、竹お用いたる事、内膳式、姓氏錄に見えたり、中世も親王大臣にあらざれば、白箸お用いずといへり、箸台といふあり、後世漆箸だにあるに、文正の比の奢には、金おのべ沈おけづりて用い、今は民間に象牙骨咄犀(うにこる)お用るに至れり、驕奢の甚しき〓るべし、〈○中略〉信濃には、箸おはなぞうといふ、