[p.0101][p.0102]
日本永代蔵

煎じやう常とはかはる問薬
何とぞ隻取事おと、気お付心お砕中に、屋形々々に行て殿作り仕舞、大工屋根葺、おのがひとつれに二百三百人、〈○中略〉跡より番匠童に鉋屑木(かんなくづこつは)おかつがせけるに、可惜檜の木切々おちて捨るおかまはず、〈○中略〉其後は日ごとに暮お急ぎ、大工衆の帰りお見合、其道筋に有程拾ひけるに、五荷よかすくなき、事なし、雨の降日は此木屑より箸お削て、須田町瀬月物町の青物屋におろし売、箸屋甚兵衛と鎌倉柯爪(かまくらがし)にかくれなく、